保育士を辞める理由とは

10人に1人の保育士が退職している現状

厚生労働省が運営する「保育士等確保対策検討会」によると、平成25年度における常勤保育士の退職者数は、32,823人となっています。同年の保育士総数が320,196人という点を考慮すると、10.3%もの保育士が退職をしているのです。

保育士が保育園や育児施設を退職する理由は、以下の3つとなります。

人間関係による退職

人間関係は、保育士に限らず、あらゆる職業の代表的な退職理由として挙げられます。現在は男性の保育士も増えてきましたが、保育園は、まだまだ女性が中心となって稼働している施設です。そのため、女性社会にありがちな派閥争いが発生しやすくなっています。結果として、保育士同士の人間関係も悪化しやすくなり、多大なストレスに苛まれて退職へと繋がるのです。

また昨今は、保育士に過度なクレームを浴びせる保護者(モンスターペアレント)も多く、退職せざる得なくなる保育士もいます。おまけに、規模の小さい保育施設ともなれば、悩み相談をする相手を見つけるのも苦労をするため、保育士の精神的な疲労がどんどん蓄積してしまうのです。

激務による退職

育児業務に加え、保育士は子供の指導計画や保護者への連絡帳作成、園内の清掃など、多彩な仕事を行います。さらに、慢性的な人手不足が目立つ保育業界においては、ひとりの保育士が担う業務量も多くなっています。おまけに、多くの子供達の命を預かっているという日々のプレッシャーも相当なものでしょう。上記のような、心身共にすり減りやすい職場環境によって、退職してしまう保育士の数は少なくありません。

待遇の悪さによる退職

施設や雇用形態によって異なりますが、保育士には、先に挙げたような激務に見合う給料が支払われることは少なく、低賃金であることがほとんどです。これに加え、人手不足によって、保育士が自由に有給消化をすることも難しくなっています。このような待遇の悪さから、退職や転職に踏み切る保育士は後を絶ちません。

これらのように、保育士が仕事を辞める理由は様々ですが、悪い状況を改善するために様々な取り組みが行われているのも事実です。昨今は、保育現場にデジタル教材やタブレット端末を導入して、保育士の負担を軽減しようと試みる施設も多くなっています。さらに、保育士の増加や離職率の低下させるために、地域や自治体によっては、保育士に補助金を支給するケースもあります。