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地域警察の仕事

地域警察は、管轄区域をパトカーでパトロールしたり、交番や駐在所での道案内、落し物や盗難などの被害届対応など、地域と密着した防犯活動を行っています。しかし、全ての警察本部に地域部が設置されているわけではありません。これが他の警備部、交通部などと異なる点です。

今現在、地域部が設置されている警察本部を以下にまとめてみました。

警視庁/北海道警察/宮城県警察/新潟県警察/栃木県警察/福島県警察/茨城県警察/埼玉県警察/千葉県警察/神奈川県警察/静岡県警察/愛知県警察/大阪府警察/京都府警察/兵庫県警察/広島県警察/福岡県警察

上記以外の警察本部に関しては、生活安全部の中に地域課が置かれ、地域警察の役割を果たしているといった形です。

交番の仕事

交番勤めの、「お巡りさん」は、地域警察の最前線とも言える存在です。「交番」は、「交代で番をするところ」の略語であり、本来は「交番所」です。「交番所」は明治7年に警視庁に作られ、そこから徐々に「交番」へと変わっていきました。

「交番」の他に、「派出所」「駐在所」という呼び名もありますが、その違いはなんでしょう?
「派出所」については、警察だけではなく、銀行や鉄道などでも使用していて、出張所という意味を持ちます。警察の場合も同様で、交番の出張所、という意味があります。こうした呼び名の違いがわかりにくい、といった意見もあり、1994年より、「交番」という表記に統一しています。

駐在所の役割

一方、「駐在所」という呼び名ですが、これは地方や山間部によく見られます。交番と、警察官の家族が住む住居が一体化していて、地域密着型の交番といえるでしょう。住居で生活しながら「お巡りさん」の仕事をし、24時間、地域の人達と密着しています。警察官がパトロールなどで不在の場合は、家族が対応することもあります。

交番には「お巡りさん」の他に、「交番相談員」という人たちもおり、警察官によく似た制服を着用し、帽子や胸、肩に「交番相談員標章」というワッペンをつけています。彼らは警察のOB・OGで、その豊富な経験を生かし、道案内や被害届を扱います。もちろんその他、住人たちの困り事にも対応、事故現場での被害者の救護活動、学校周辺のパトロールなども行います。

地域内に山や川を抱えている交番では、山岳救助員や水難救助員を指定している場合もあります。航空隊、警備艇と連携し、救助活動を実施します。もし大きな災害が起きた場合には、機動隊とも連携して対応に当たります。

地域に特化した警察の仕事

各都道府県に所属する警察は地方公務員であり、地域によって行う仕事も様々です。その地域に特化した部署があったり、他の地域にはあるはずの部署が存在しなかったり、その地形やその地域ごとで抱える問題によって仕事の仕方や区分も変わります。

地域課

地域警察には、「地域課」「地域総務課」あるいは「地域企画課」という部署があります。地域部内の庶務などを行うところで、任務は地域との防犯イベントを考えたり、地域ボランティアなどと協力して、キャンペーンの企画・運営をするなど、様々です。警視庁には遊撃特別警ら隊という部隊もあり、2個中隊が「地域総務課」に編成されています。

通信指令課

私たち市民が110番通報をした時に応対する「通信指令課」という課もあります。この課は通信指令室に詰め、私たちの通報を受付台で受理します。無線指令台と呼ばれる場所もあり、通報を同時にモニターしています。そのため、受理と確認は同時に行われる仕組みとなっています。

無線指令台は、現場に一番近いパトカーに指令を出します。指令を受けたパトカーは、即座に赤色灯を点灯させ、現場に急行することになります。このとき通信指令室では、「地図表示画面」「事案画面」「カーロケータ」といった画面を見ながら間違いのないように作業を行います。

「事案画面」とは、通報内容、発生時間、場所などを入力する画面で、キーボードでも手書きでも対応できるようになっています。そして、「カーロケータ」は、現場に近いパトカーに指示を出すためのもので、地図画面に各パトカーが表示されるという、GPS衛星を使った位置確認システムです。万が一犯人が車で逃走しても、追跡中のパトカーの表示を追うことで、簡単に応援を派遣することができるのです(もちろん、場合によっては、航空隊を出動させることもあります)。

自動車警ら隊(自ら隊)

「自動車警ら隊(自ら隊)」は、地域部の重要な戦力です。
前述したように、通信指令室の指示で犯人を追跡することもありますし、該当パトロールを実施して、不審者を見つける活動も行います。毎年年末になると、TV番組で警察の24時間を追ったドキュメンタリーが流されることがありますが、自ら隊の活動はこうした番組内でよく目にすることがあります。
自ら隊のパトカーの特徴は、赤色灯にあります。赤色灯の基部の部分は上へ伸ばせるようになっていますが、これは路上に停車して任務を行う際のためのものです。後継車が事故を起こさぬよう、こうして目立たせることで対応しているのです。

航空隊

先にも少し触れましたが、ヘリによって空から犯人を追跡したり、山岳遭難者を救助したりするのが、「航空隊」です。航空隊は全ての地域部にありますが、やはり一番規模が大きいのは警視庁です。

鉄道警察隊

通勤やレジャーの足として、我々市民が頻繁に利用する「鉄道」。その乗客、利用者たちを守るのが「鉄道警察隊」です。主要駅には交番や派遣所が置かれ、警察官が常駐しています。多くの人々が利用する鉄道では、事件や犯罪の数もやはり多くなります。窃盗や痴漢、暴行事件、不審物への対処など、駅構内や電車内で発生した事件に対処します。

水上警察

船を装備し、洋上や河川のパトロールを行うのが、「水上警察」です。一般にはあまりなじみがないかもしれませんが、これも地域課に属します。水上警察署は現在、「横浜水上警察署」「名古屋水上警察署」「大阪水上警察署」「神戸水上警察署」の4つがあります。その他、「秋田臨港警察署」「川崎臨港警察署」「博多臨港警察署」の3つがあります。これら水上警察署を持たない警察本部では、海や河川に面した警察署内に水上安全課、舟艇課などを置いて、警備艇を装備しています。

2008年3月までは、警視庁にも「東京水上警察署」の舟艇課がありました。しかしお台場に「東京湾岸警察署」が新設されたことから、湾岸警察署の水上課に機能が引き継がれました。