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消防士をサポートする仕事

消防士の花形といえばやはり、消防隊員や特別救助隊員なのですが、まだまだ他にも現場での仕事をする人や、それをサポートする仕事はあります。消防士の仕事は消火、救助活動だけではありません。

救急隊員・救急救命士

救急隊は、救急車の要請に応えて出場します。救急隊は通常3名で編成されていて、このうち一名は機関員。救急隊の機関員の場合は他の救急隊員と同じように、救急の専門教育「救急標準過程」を終了しています。そのため、必要な際には救急処置を行うことができます。

また、救急隊員には救急救命士が一名以上含まれている事が一般的となっています。
救急救命士は、高度な救命処置が行える国家資格保有者です。消防職員なら救急隊員として5年間、あるいは2000時間以上の活動を行った経験があれば、救急救命士養成所での研修を受けることができ、国家資格を受験して救急救命士にステップアップすることができます。

救急救命士資格は、消防職員でなくても取得することが可能です。救急救命士になるための大学や専門学校もあるため、先に資格を取得してから消防に入ることも可能です。

指揮隊員

火災現場で的確に状況を把握し、情報を集め、指揮本部を運営。各部隊を指揮統制するのが指揮隊の役割です。消防本部ごとに指揮隊の方式や構成は異なりますが、課せられた使命は同じです。現場最高責任者である大隊長をサポートすべく、指揮隊員が関係者からの情報収集や、活動各隊との無線通信を担当し、大隊長はこれを受けて活動方針を決定します。

火災原因調査員

火災原因調査員は、その名の通り、火災の原因を調査するエキスパートです。鎮火後に現場を検証して、火災の原因や損害を調べます。その結果を書類にまとめた段階で、消防による火災は、ようやく終焉を迎えることになるのです。
火災原因調査の仕事を担当するのは「調査係」。消防署の「予防課」か「警防課」に属していて、「○○消防署警防課指揮調査係」や「○○消防署予防課指導調査係」など、地域によってその呼称は異なります。
調査員には専門的な知識が不可欠であるため、専門の教育を受ける必要があります。特別な資格が必要なわけではありませんが、知識としてあると役立つのは、電気や機械、化学、建築といった理系の専門知識や、法律関係の文系の知識です。

予防課員

消防の二台柱の一つです。火災が発生しないように、そして万が一、発生してしまったときに最小限に被害を食い止めるために、管内の防火対象物に対して法律に基づく消防設備の設置指導や査察を担当するのが予防課の仕事です。
主な仕事の内容は、火災発生の危険がないかどうか、建物内を立ち入り検査して調べる「査察」、新しく出来た建物や増改築した建物に、定められた消化用設備がついているかどうかをチェックする「検査」、ガソリンスタンドやロータリーなど、危険物の貯蔵・取り扱いを行う施設の設置許可、完成検査、立入検査を行う「危険物検査」などがあります。
私たち市民に馴染みがあるものとしては、学校や自治体などに対しての、避難・通報・初期消火訓練、指導などの指導広報活動があります。

管内を回っての査察では、スプリンクラーなどの消化設備の不備や欠陥を指摘しなければならないこともあり、これは改善されるまで繰り返し通知していきます。

航空隊員・航空救助員

東京消防庁や政令市の消防の多くは、ヘリコプターを所有しています。林野火災での空中消火、高層建物火災での救助、情報収集、山岳、水難救助対応、救急搬送などに投入している。
消防ヘリのクルーは、「操縦士(パイロット)」「整備士(メカニック)」「航空救助員(ヘリレスキュー)」、で構成されています。パイロットはライセンスを取得するために、相当な時間と費用を要します。一般の消防士とは別枠で、有資格者を対象とした採用試験を行っているのが一般的ですが、東京消防庁は庁内選抜によりパイロット候補生を選び、航空隊に配属して数年かけてパイロットに養成しています。整備士も同様で、整備士資格を持つ人を別枠で採用する本部が多いのですが、東京消防庁は庁内で養成します。
パイロットも整備士もきわめて専門性の高い職種であり、一度配属されれば原則的には別の職場に異動することはありません。
一方、ヘリ専門の航空救助員は、救助隊員の資格を持つ者が担当します。航空隊と共にヘリポートに常駐したり、救助隊に所属し、必要な場合に航空隊と合流したりすることもあります。

指令係員

指令係員の仕事は、市民からの「119番通報」を受け付けること。ここでは通報に寄って災害発生場所を特定、災害の対応に必要な直近の隊を選択し、出動を指示、現場への誘導や統制を無線で行います。
必要に応じて119番通報者に対し、その場に適した対応を指導することもあります。例えば、心肺停止している人がいるとなれば、通報者に対して心肺蘇生法を電話口で「口頭指導」します。
119番通報は、当然ながら24時間対応ですので、司令室は24時間休みなく稼働しています。通信指令室で消防通信に従事する係員は、交代制勤務で働いています。