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消防士とは?仕事内容は?

消防士は、地方自治体の消防本部や消防署に所属し、火災の消化や救急によって、人々の安全を守る仕事です。警察官と同じ地方公務員ですが、消防は国や県ではなく市町村ごとに置かれている組織であるため、所属するのは原則的に市町村(東京だけは例外的に都職員)です。これは守備範囲を狭くすることで、地域密着型の活動を行うためです。組織の数は多く、警察が警視庁や各道府県警察本部を合わせて全国に47であるのに対し、消防本部はなんと800近くあります。

採用試験の試験区分は「一般行政職」と並んで「消防職」が設定されています。採用予定数も一般行政職が○名で消防職が○名というように、消防職は別枠となっています。消防職の試験区分で受験し、採用されれば、市役所などの行政機関へ異動することはなく、消防内で異動することになります。当然ながら、市町村をまたいで異動することもありません。市町村の1セクションではありますが、消防は市町村の消防事務を統括する機関として「消防本部」を設置しています。本部の名称は「○○市消防本部」「??市消防局」と様々ですが、人口がおおむね30万人以上の市は、「消防局」の名称となるのが一般的です。呼び名は違っていても、消防制度、組織、人事、予算、庶務などの消防組織そのものを維持するために必要な事務や、司令塔としての役割を果たしていることに関しては同様です。

消防は、消防本部および消防署で構成されています。我々にとって馴染み深いのは、消防車が車庫に並ぶ「消防署」でしょう。火災や事故、救急などで現場に出動する第一線の部隊は、消防署に配属されています。
消防署の仕事を分担する下部機関として『分署』『消防出張所』『派出所』が設置されています。そしてこれらに勤務する消防士の大部分は、消防車や救急車を運用する「小隊」に属しているのです。


火災現場での消火活動

火災が発生すると、消火を担当する消防隊、人命救助を担当する救助隊、負傷者の救護を担当する救急隊の各隊に出場指令が下ります。

その通報を受けて現場にいち早く出動し、火災現場からの出火をくい止めると同時に、現場で逃げ遅れた人がいないか検索して人名救助し、また近隣の人たちを、安全な場所へと避難させたり、後退させたりします。

傷病者が発生すれば応急手当をし、病院へと搬送します。これも、消防士のお仕事です。
その他にも、現場で情報収集を行い、活動する様々な部隊を統率する指揮隊など、実に様々な役割を負った隊員たちが、お互いに連携しあって仕事にあたります。

火災の件数は、それほど多いものではありませんが、日頃から訓練を重ね、すぐに火災現場に駆けつけられるように常に出動の準備をしています。消防隊の活動は、火災現場という非常に過酷で危険な場所での活動となります。人が恐れ、逃げ出す火災現場に飛び込んでいかなければならない仕事ですので、当然ながら、相当の覚悟が必要です。
日々の訓練も厳しくキツく、投げ出したくなることも一度や二度ではないでしょう。

けれども、人々を絶体絶命の危機から救い出せる、唯一無二の重要な任務でもあります。これ以上のやりがいを得られる仕事は、他にはなかなかありません。

こんなにある!危険な火災現場

・住宅火災 ・危険物火災 ・山林火災

事故現場での救急・救助活動

119番の通報を受けて、交通事故をはじめ、一般事故(転落事故など交通事故以外のもの)によってケガを負った人、また急病人に対して応急手当てを施し、医療機関に搬送する任務です。

一般にイメージしやすいのは交通事故でしょう。車両に閉じ込められた人を、スプレッダーやカッターを用いて救出する救助隊。応急手当をしながら病院へと搬送する救急隊。
事故によって道路にガソリンなどの危険物が流れでてしまったら、「危険排除」という任務のために消防隊が出動し、ガソリンや危険物の処理に当たります。

他にも、工場で機械に腕が巻き込まれた、子どもが遊具に指を挟んでとれなくなってしまったなど、脱出不能な状況に対しても、救助隊が中心となって救助活動を行います。

山の崩落現場では、崖崩れで生き埋めになった人、土砂の下敷きになった車両から人を助け出すことが任務となります。夏場に多い河川地域、海での水難事故では、川遊びや海遊びをしていて溺れた人たちを救助します。他の部隊との連携作業で、人々のピンチを救うのです。

こんなにある!危険な事故現場

・交通事故 ・山岳事故 ・水難事故

救急事案に出動!

消防署の車庫に並ぶのは、消防車だけではありませんね。真っ赤なボディに混じって輝くのは、白いボディの救急車。これを運用するのが、救急隊です。

救急隊の仕事は、傷病者の応急処置を行い、救急車にて適切な医療機関に搬送することです。消防隊や救助隊は、4~5名で1チームとなりますが、救急隊は、隊長と車両のドライバーである機関員、そして隊員の3名1チームで編成されています。
また救急隊には、救急救命士が乗務するようにしてあります。隊長か隊員、あるいは両方が救急救命士の資格を持っているのが一般的です。

救急隊の活動は、24時間交代制勤務で消防隊と同じです。指令が入ればいつ何時でも現場へと出動しなければなりません。

急病で倒れてしまった、交通事故でケガをしてしまったなど、救急の現場は様々です。また、その内容も、風邪を引いてしまった、などという比較的軽めのものから、四肢切断状態といったハードなものまで多岐にわたります。
そのため救急隊の出動要請は消防署の中でも一番多く、1回(24h)の中で10回も出場する、ということも珍しくはありません。

こちらも消防隊同様に、命の最前線で働く、命を救うという重要な任務となります。