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中小企業診断士になるには

※2017年時点の情報を元にしています。

基礎知識を問う第1次試験と、応用力を問う第2次試験

中小企業診断士の資格を取得するためには、まず「第1次試験」と「第2次試験」に合格する必要があります。正確には第2次試験を受けなくても、中小企業大学校等の養成機関で実施される登録養成課程へ進むことで中小企業診断士の資格取得が出来ます。登録養成課程では、各機関によって経営学修士も合わせて取得できるコース等もありますが、費用は約100万円~200万円かかりますので、学習期間と費用面を考えますと第2次試験の方に進むことをお勧めします。念のため、登録養成課程を持つ機関に関してはこのページの一番下にご紹介しておきますので、ご参考ください。

第1次試験は、基礎知識が問われる

第1次試験が行われるのは例年8月の第1週の土曜日と日曜日。中小企業診断士として中小企業の診断・助言をするための「基礎となる幅広い知識を検定する試験」といえるでしょう。

【試験科目:1日目】

  • ◎ 経済学・経営政策(60分)
  • ◎ 財務・会計(60分)
  • ◎ 企業経営理論(90分)
  • ◎ 運営管理(オペレーション・マネジメント)(90分)

【試験科目:2日目】

  • ◎ 経営法務(60分)
  • ◎ 経営情報システム(60分)
  • ◎ 中小企業経営・中小企業政策(90分)

( 1日目、2日目の科目いずれも100点満点/マークシート式)

第1次試験は2日間に渡り、7科目。しかし、保持している資格によっては一部が免除されます。一例を挙げると、公認会計士や税理士の資格を持っていると「財務・会計」、不動産鑑定士なら「経済学・経営政策」、弁護士なら「経営法務」が免除となります。

合格基準は「第1次試験の合格基準」と「科目ごとの合格基準」の2つあるところが特徴的です。

「第1次試験の合格基準」は、受験免除科目以外の受験科目の総点数によって判定されます。たとえば免除科目が3科目あった場合は、4科目の総点数(400点)の60%(240点)かつ40点未満の科目がないことが合格基準となります。合格率はだいたい15%~25%くらいです。

また、科目別合格制度というものもあり、「第1次試験の合格基準」に達しなかった場合、「科目ごとの合格基準」判定がなされます。これは、「60点以上獲得した科目のみ合格」と個別に判定する制度です。合格は3年間(合格年度を含む)、申請すれば持ち越すことができるので、たとえば「1年目の受験では4つ合格、2年目では2つ合格、3年目で残りの1つ合格して第1次試験クリア」といった3年計画で進めることも可能です。

第2次試験は、応用力が問われる

第2次試験は「筆記」が例年10月の第3週、「口述」が例年12月の第3週に行われます。コンサルタントとしての実務能力を認定するための「応用能力・思考プロセスを検定する試験」といえるでしょう。

【筆記試験】

中小企業の診断および助言に関する実務の実例を全て論述式で回答。

  • ◎ 事例Ⅰ:組織(人事を含む)
  • ◎ 事例Ⅱ:マーケティング・流通
  • ◎ 事例Ⅲ:生産・技術
  • ◎ 事例Ⅳ:財務・会計

( 各80分/各100点)

試験形式は記述式が中心。1設問あたり15~200文字程度の字数制限があります。全科目で60%以上が合格となり、合格率はだいたい15%~20%くらいです。

【口述試験】

口述試験は、中小企業の診断および助言に関する能力について、筆記試験の事例などをもとに個人ごとに3名の審査官による質問に対する回答を行う面接により実施されます。1人あたり約10分が目安です。合格率はだいたい99%です。

合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上で、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験の評定が60%以上であることが求められます。第2次試験のポイントは、第1次試験での知識がベースになります。また、受験資格は第1次に合格した年度およびその翌年度の2年間。すなわち、第1次に合格しても第2次試験に2回以内で合格しなかった場合、再び第1次試験の7科目を受験しなければならなくなります。

【実務・実務補習を経て登録へ】

第1次試験と第2次試験に合格したら、最後に実務または実務補習を経て中小企業診断士の登録です。既に実務を行っている会社にいる方は15日間の実務を行うことで登録要件をクリアします。実務補習に関しては、2月もしくは7,8,9月での15日間コースの実務補習を受けることで申込み要件をクリアできます。実務補習の最終日に登録申請を行い、4月末に公報(官報)にて登録が発表されます。

試験に関するお問い合わせ先

社団法人 中小企業診断協会
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-11 銀松ビル
電話:03-3563-0851 (代)
ホームページ:http://www.j-smeca.jp

養成課程・登録養成課程の実施機関一覧

【中小企業大学校(養成課程)】

中小企業大学校
国の中小企業施策実施機関として、主に中小企業の支援ケースを使った実践的な演習と企業診断実習により構成した養成課程を設置。平日昼間主体の約半年間コースで、入寮可能な宿泊施設も完備。

【登録養成機関(登録養成課程)】
中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則第35条第1項の規定により経済産業大臣に登録された登録養成機関は以下の通り。

法政大学大学院
同校専門職大学院に設置されているイノベーション・マネジメント研究科に、中小企業診断士登録養成課程を設置。平日昼間を主体とした1年+1日コースとして実施。専門職学位取得に必要な履修単位が含まれることから経営管理修士(専門職)の学位取得も可能。
中京大学大学院
同校大学院に設置されているビジネス・イノベーション研究科に中小企業診断士登録養成課程を設置。平日夜間と土曜日を主体とした2年コースとして実施。修士号取得に必要な履修単位が含まれることから修士(経営管理学)の学位取得も可能。
公益財団法人日本生産性本部
平日昼間を主体とした6ヶ月コースとして、中小企業診断士登録養成課程を設置。
株式会社日本マンパワー
火曜日、木曜日の夜間と土曜日を主体とした 1年コースとして、中小企業診断士登録養成課程を設置。
名古屋商科大学大学院
同校大学院に設置されているマネジメント研究科に中小企業診断士登録養成課程を設置。土曜日、日曜日を主体とした2年コースとして実施。修士号取得に必要な履修単位が含まれることから修士(経営学)の学位取得も可能。
一般社団法人中部産業連盟
火曜日、木曜日の夜間と土曜日を主体とした1年+1ヶ月のコースとして、中小企業診断士登録養成課程を設置。
東海学園大学大学院
同校大学院に設置されている経営学研究科に、中小企業診断士登録養成課程を設置。平日夜間と土曜日を主体とした2年コース(2年間+3日)として実施。修士号取得に必要な履修単位が含まれることから修士(経営学)の学位取得も可能。
東洋大学大学院
同校大学院に設置されている経営学研究科に、中小企業診断士登録養成課程を設置。平日夜間と土曜日、日曜日を主体とした2年+1ヶ月のコースとして実施。修士号取得に必要な履修単位が含まれることから修士(経営学)の学位取得も可能。
千葉商科大学大学院
同校大学院に設置されている商学研究科、経済学研究科及び政策情報学研究科の3修士課程が、合同で中小企業診断士登録養成課程を設置。土曜・日曜を主体とした2年+1ヶ月コースとして実施し、修士号取得に必要な履修単位が含まれることから専攻の各修士(商学、経済学、政策情報学)の学位取得も可能。
兵庫県立大学大学院
同校に設置されている経営専門職大学院の経営研究科に、中小企業診断士登録養成課程を設置。平日型又は土曜日型の2コース(2年間+1日)を実施。専門職学位取得に必要な履修単位が含まれることから経営管理修士(専門職)の学位取得も可能。
城西国際大学大学院
同校大学院経営情報学研究科起業マネジメント専攻(修士課程)に中小企業診断士登録養成課程を設置。原則として平日夜間と土曜日を主体とした2年1ヶ月コースとして実施。修士号取得に必要な履修単位が含まれることから修士(経営学)の学位取得も可能。また、併設される科目履修によりITコーディネータの資格取得も可能。

中小企業庁ホームページより