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中小企業診断士の試験に向けたアドバイス 第1次試験編

第1次試験に向けたアドバイス

第1次試験に向けて、全体的なアドバイスをワンポイント的にご紹介します。

学習する気持ちの準備として

中小企業診断士の1次試験は経済学・経営政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(オペレーション・マネジメント)、経営法、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目あります。平均60点以上を取ることが必要で、さらに40点未満の科目を無くさなければなりません。しかも、試験では60点を境に急激に難しい問題となるように工夫されており、結果的に得意科目だけを伸ばすやり方よりも全科目で不得意科目を無くす勉強のしかたが望ましいと考えられます。逆に言えば、各科目で抑えるところを抑えながら、必要以上に得意科目を追求しなくても全体的に60点以上狙うことができるわけです。

1次試験で勉強する際に注意しなければならないのは、2次試験の出題科目です。特に財務・会計、企業経営理論、運用管理(オペレーション・マネジメント)の3科目は他の科目のように知識レベルを問われるのではなく、応用力としてのより深い認識を問われます。従って、どうせ1次試験の勉強をするのであれば、この3科目は深めに勉強することをお勧めします。

中小企業経営・中小企業政策は特別

7科目の勉強を万遍なく理解することが重要であることはお伝えしていますが、中小企業経営・中小企業政策に関しては特に理解が必要です。試験問題は『中小企業施策利用ガイドブック』『中小企業白書』から多く出題されますが、その学習範囲が非常に広いです。通常のテキスト教材ではこの『中小企業施策利用ガイドブック』『中小企業白書』の一部が抜粋されて紹介されていますが、充分な量とはいえず、併せて中小企業庁の『中小企業白書』概要を参考にすると良いでしょう。この『中小企業白書』は中小企業庁のホームページにあります。全文も載っていますがPDF版の概要で充分だと思いますので是非ダウンロード、プリントアウトしてご参考ください。

過去問の学習方法

社会人であれば、学習もそこそこに過去問をとにかく解いていくというやり方もあります。一般的な知識や学習は社会人経験で培っているはずですので、問題を読んでも「何を言っているか分からない」という状況にはなにりくいはずです。そして過去問を解いていく中でどうしても分からない箇所をテキスト教材で徹底的に理解するというやり方です。人間は「知りたい時が学習時」であったりします。ですので過去問に向き合って、分からないとこへ積極的にぶつかっていくことで効率的な記憶と学習ができるかもしれません。過去5年分の過去問を何度も解いていけば自ずと感覚と学習ポイントが掴めるようにもなりますので、テキスト教材を根詰めて覚えるだけでなくこういったやり方も覚えておきましょう。

模擬試験は積極参加を

模擬試験を受けること自体が非常にお勧めです。まず本試験感覚で緊張感を持って挑むことになりますので、雰囲気に慣れておくこともできますし、実際の試験時間の時間配分も実践的に養うことができます。1年間の学習を無駄にしないためにも「大丈夫」という気持ちを無くし、絶対に参加してください。

あえて1次試験をもう一度受験するのもアリ

1次試験は8月に行われ、2次試験の筆記が10月、口述が12月に行われます。2次試験の受験資格としては当然1次試験を合格していることが条件ですが、この1次試験の合格資格は翌年の2次試験受験まで有効なのです。つまり1次試験合格の年の2次試験を一度不合格となっても、次の年に再度2次試験を受験することが可能です。当然一発合格を狙って受験するわけなので次の年のことは考えたくありませんが、仮に1次試験合格の年の2次試験が不合格となった場合、翌年の1次試験を再度受験するのもアリです。1次試験の勉強は2次試験の勉強にも繋がります。ですので、復習や心構えの準備として1次試験を受けなおす方も多いようです。もう一度2次試験を受けることになるようなことは避けたいものですが、仮に2次試験が不合格となった場合は是非そんな考え方も含んでおくと良いでしょう。

科目別アドバイス

最後に科目別のアドバイスをご紹介します。

経済学・経営政策

統計による国民経済計算や物価指数は覚える範囲が広い上に出題頻度が低いので、余裕があれば程度にしておき、費用関数やIS曲線、LM曲線、総需要と総供給曲線等の理論を確実に押さえて学習しておきましょう。実際にこの辺のグラフを用いた問題が多く出題されます。

財務・会計

2次試験にも出題されるこの科目では、財務諸表の見方や経営分析、CVP分析、キャッシュフロー計算書、ディスカウントキャッシュフロー等の理論を必ず理解しておくことが重要です。簿記における基本原理や期中取引、決算整理、税効果会計はいずれ覚える程度でいったん置いておくのも良いです。簿記は簿記で大変な学習量になってしまいますので。

企業経営理論

こちらも2次試験にも繋がる経営戦略、成長戦略、競争戦略、経営組織理論、人的資源管理、マーケティング理論は深い理解が必要です。労働関連法規に関しては数問出題される傾向がありますが、教材に無い部分が登場することもありますので、その勉強時間を割いて前述の理論に集中した方が良いでしょう。

運営管理(オペレーション・マネジメント)

こちらも2次試験に直結します。ここは全体的に学習する必要がありますが、店舗施設における法律の知識に関してはそこまで力を入れなくても良さそうです。

経営法

知的財産権の部分と会社法は丸暗記するつもりで勉強してください。単純な記憶学習が苦手な方にはおそらく中小企業診断士7科目中最も学習が困難な科目と思われます。特に会社法は出題頻度が高く、この科目の大部分を占めますので、地道な記憶が重要です。

経営情報システム

情報システムの仕事をしている方なら簡単に理解できるので、勉強時間はかからないかもしれません。実際にこの科目の合格率は高いです。しかし、統計解析や統計理論に関しては難しいです。従ってこの統計解析と統計理論の学習はあまりせずに情報システム中心に勉強することをお勧めします。

中小企業経営・中小企業政策

最初の方で述べたとおり、中小企業経営・中小企業政策は特別です。とにかく『中小企業施策利用ガイドブック』『中小企業白書』からの出題が多く、ここを学習することが重要ですが、出題範囲が膨大な上に『中小企業白書』は毎年内容が変わって施策も変わりますので、概要で絞り込みながら勉強しましょう。

 

いかがでしたか?これでなんとなく感覚をつかみ、早速次に勉強法を考えてみてください。