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システムアーキテクト(SA)とは

2008年春、情報処理技術者試験の区分が刷新、論文系の高度情報処理技術者試験も同様に、2009年秋試験から新制度となりました。その中で登場したのが、システムアーキテクト資格です。

そもそも「アーキテクト」とは、建築家、設計者などの意味を持つ英単語です。ITの分野では、システムやソフトウェアの開発において、全体のプロジェクト管理や基礎・中核部分の設計、仕様策定などを行う、あるいは行うことができる人や職種、チームのことを意味します。対象分野によって、ITアーキテクト、システムアーキテクト、ソフトウェアアーキテクトなどと呼ばれています。

システムアーキテクトとは、簡単にいえば、システム開発の上流工程を主導する立場。業務とITのグランドデザイナーです。上級エンジニアを目指す方には、最適の資格と言えるでしょう。

試験の近年合格率は、14.4%ほどと、やや難易度は高めです。資格を取得した際は、プログラミング系・情報セキュリティ系関連企業などを中心に活躍することが可能でしょう。
対象者は、高度IT人材として確立した専門分野をもち、IT ストラテジストによる提案を受けて、情報システム又は組込みシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する能力を認定する者とされています。

システムアーキテクト試験は、経済産業省の指定試験機関である独立行政法人情報処理推進機構の情報処理技術者試験センターが実施している試験で、情報処理技術者試験の一区分。システムの要件定義や基本設計、開発の主導などを行うための知識や技能を認定したものです。

役割と業務

情報システム

情報システム戦略を具体化するための情報システムの構造の設計や、開発に必要となる要件の定義、システム方式の設計及び情報システムを開発する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導します。

  • (1) 情報システム戦略を具体化するために、全体最適の観点から、対象とする情報システムの構造を設計する。
  • (2) 全体システム化計画及び個別システム化構想・計画を具体化するために、対象とする情報システムの開発に必要となる要件を分析、整理し、取りまとめる。
  • (3) 対象とする情報システムの要件を実現する最適なシステム方式を設計する。
  • (4) 要件及び設計されたシステム方式に基づいて、要求された品質を満足するソフトウェアの設計・開発、テスト、運用及び保守についての検討を行い、対象とする情報システムを開発する。
    なお、ネットワーク、データベースなどの固有技術については、必要に応じて専門家の支援を受ける。
  • (5) 対象とする情報システム及びその効果を評価する。

組込みシステム

組込みシステムの要件を調査・分析し、機能仕様を決定し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様を取りまとめる業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導します。

  • (1) 組込みシステムの企画・開発計画に基づき、対象とする組込みシステムの機能要件、技術的要件、環境条件、品質要件を調査・分析し、機能仕様を決定する。
  • (2) 機能仕様を実現するハードウェアとソフトウェアへの機能分担を検討して、最適なシステムアーキテクチャを設計し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様を取りまとめる。
  • (3) 汎用的なモジュールの導入の妥当性や開発されたソフトウェア資産の再利用の可能性について方針を策定する。

期待する技術水準

システムアーキテクトの業務と役割を円滑に遂行するため、次の知識・実践能力が要求されます。

情報システム

  • (1) 情報システム戦略を正しく理解し、業務モデル・情報システム全体体系を検討できる。
  • (2) 各種業務プロセスについての専門知識とシステムに関する知識を有し、双方を活用して、適切なシステムを提案できる。
  • (3) 企業のビジネス活動を抽象化(モデル化)して、情報技術を適用できる形に再構成できる。
  • (4) 業種ごとのベストプラクティスや主要企業の業務プロセスの状況、同一業種の多くのユーザ企業における業務プロセスの状況、業種ごとの専門知識、業界固有の慣行などに関する知見をもつ。
  • (5) 情報システムの実現方式、開発手法、ソフトウェアパッケージなどの汎用的なシステムに関する知見をもち、適切な選択と適用ができる。
  • (6) OS、データベース、ネットワークなどにかかわる基本的要素技術に関する知見をもち、その技術リスクと影響を勘案し、適切な情報システムを構築し、保守できる。
  • (7) 情報システムのシステム運用、業務運用、投資効果及び業務効果について、適切な評価基準を設定し、分析・評価できる。
  • (8) 多数の企業への展開を念頭において、ソフトウェアや、システムサービスの汎用化を検討できる。

組込みシステム

  • (1) 対象とする組込みシステムが用いられる環境条件や安全性などの品質要件を吟味し、実現すべき機能仕様を決定できる。
  • (2) 対象とする組込みシステムの機能仕様に基づき、ハードウェアとソフトウェアの適切な組合せを設計し、それぞれの要求仕様としてまとめることができる。
  • (3) リアルタイムOSに関する深い知識と汎用的なモジュールに対する知識を有し、ソフトウェア資産の再利用可能性の検討や、適切な活用ができる。

試験時間・出題形式・出題数(解答数)

午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20 10:50~11:30 12:30~14:00 14:30~16:30
出題形式 多肢選択式 多肢選択式 記述式 論述式
出題数 出題数:30問 出題数:25問 出題数:2問 出題数:1問
解答数 解答数:30問 解答数:25問 解答数:2問 解答数:1問