栄養士と管理栄養士は何が違う?

食品栄養に絡む資格として、管理栄養士以外にも栄養士という資格が存在します。栄養士と管理栄養士は名前こそ似ていますが、具体的な違いはどこにあるのでしょうか?

資格の信頼性が異なる

管理栄養士は、栄養士の上位資格となります。大まかな表現をすれば、「高度な栄養指導ができるかできないか」という点に尽きるでしょう。そのため、栄養士よりも管理栄養士の資格を持っていたほうが、就職や転職に有利となります。求人によっては、管理栄養士のみを募集しているほか、基本給や職務手当の額も、管理栄養士に軍配が上がります。

また食事をする数が多い施設では、栄養士ではなく、必ず管理栄養士を配置しなければいけません。健康増進法によって「特定給食施設のうち1回300食以上1日750食以上提供する給食施設において、栄養士のうち少なくとも1人は管理栄養士を置くよう努めなくてはならない」と定められています。

栄養指導を行う対象者が異なる

栄養士も管理栄養士も、「栄養指導を行える資格」という点は同じですが、指導を行う対象が異なります。具体的には、栄養士が「健康な人のみ」を対象とするのに対し、管理栄養士はそれらに加え「病人や傷病者」などの栄養指導も行います。そのため医療施設や介護施設などで栄養指導を行うには、管理栄養士の資格が不可欠です。

ただし、医療施設や介護施設で栄養指導を行えるのが管理栄養士のみであり、給食の献立作成や食材の発注は栄養士でも可能です。そのため、委託給食会社から派遣される形で、医療施設や介護施設で働く栄養士も少なくありません。

資格の取得方法や発行方法が異なる

栄養士の資格は、「栄養士養成施設を卒業」すれば免許を得ることができます。ただし管理栄養士は、「国家試験に合格」しなければ免許が発行されません。さらに、卒業した養成施設によっては、国家試験を受けるために栄養士としての実務経験が必要となります。また栄養士の資格は、「都道府県知事」が発行するのに対し、管理栄養士は「厚生労働大臣」から免許が与えられます。

ちなみに、栄養士と調理師との違いは、栄養士が「栄養指導の専門家」であるのに対して、調理師は「調理の専門家」という点です。職場によって、栄養士が実際の調理業務を担うこともありますが、資格の定義は大きく異なります。